収納棚 ~ダボと、棚柱と、時々、スリットパイプ~
今回のタイトル、ある小説のタイトルに寄せてみたんですが年齢がバレてしまうやつですか?
読んだ覚えはあるんですけど、すっかり内容忘れてしまいました。
壁面什器や島什器、収納棚、レジカウンター、受付カウンター・・・
色々と木工の什器を紹介してきました。
それらの什器の中に当たり前に棚板はついています。
この棚板は、固定している場合もありますが、たいていの場合は可動式で高さを変えたり外したり出来るようにしています。
図面を書くときなどは、均等割り付けで書き、納品時にもそのように棚板を設置して引き渡しますが、実際には物を入れて高さを調整されているケースが多いようです。
棚板を受けるための方法には、大きく分けて2つのパターンがあります。
それが、今回のタイトル。
ダボと棚柱です。
ダボ式・・・側板に直接穴を開けて、ダボを差しいれたり、ねじ込んだりして、棚ダボを取り付けて棚板を支える方法
棚柱式・・・スリットの入った金物を側板や壁に取り付けて、棚受けの金物をつけて棚板を支える方法
棚板の枚数が少ない場合や、高さの調整をあまりしないような場合には、ダボ式にしています。
ダボ式の方が材料が少ない分、コストも抑えられます。
ただ、たくさんダボ穴を開けると手間が掛かるので、逆にコスト上がってしまうこともあります。
ダボ式について
側板に穴が開いている場合と、溝が切ってあるメネジが打ち込まれている場合の2パターンがあります。
穴があいているのは、差しダボ用で、名の通りダボを差し込みます。
木製の木ダボや、金物製や樹脂製のダボがあります。
形や、用途も様々。
形やサイズは様々。
差しダボ
差しダボは、どちらかというと既製品の家具や、メーカー製ののシステム収納で使われていることが多いです。
あとは、ホームセンターに売っているカラーボックスなど。
そのため、メーカーのオリジナルで作られていることも多いです。
穴の大きさもマチマチ。
失くしてしまった場合に、同じ物を探すのは至難の業です。
木ダボは、家具を組立する際に使われていたりします。
組み立て式のカラーボックスに、側板と背板をジョイントするときに、部材として入っているのを見かけたことありませんか?
あとは天板同士を繋いだり。
穴にボンドを注入して、木ダボを差し込むと木ダボがボンドの水分を吸って膨らんで、がっちり引っ付くんです。
DIYの時なんかにもお勧めです。
ネジダボ
対して、メネジが打ち込まれているのは、ネジダボ用。
メネジとは、ダボをねじ込むための受けになる物。
ネジ山が切ってあり、側板に穴をあけて打ち込みます。
一度打ち込んでしまうと取れることはありません。
ダボ自体は、手で回して付けたり外したりします。
このネジダボは、木工所で使用していることが多いです。
オーダー什器や特注の什器を製作する際に採用しています。
穴あけはNCという機械で自動で開ける場合もあれば、インパクトドライバーで手で開けていく場合もあります。
どちらにしろメネジの打ち込みの作業は作業となるため、細かいピッチでたくさんのネジ穴を作るのが難しくなります。
基準としては、棚板1枚に対して上下に5㎝ずつ動かせるように設計することが多いです。
最小ピッチは、メネジ打ち込みのことを考えると3㎝が限度です。
また、写真のように干渉物があった時に避けてダボをつけることが出来る自由度が高いのもいいところです。
棚柱式について
石黒テックでは、棚板の枚数が多かったり、細かいピッチで調整を必要とする什器などには、棚柱を提案しています
棚柱は、木工の家具や什器だけではなく、壁にも取り付けることが出来るので自由度が高いのが棚柱の良いところです。
素材もステンレス製、アルミ製の物があり、メーカーや仕様用途で形状も若干異なります。
昔は、シルバー色の物しかなかったのですが、最近ではブラック、ブロンズ、ホワイトなどカラーバリエーションも増えました。
高さ調整は2㎝ピッチで変えることが可能です。
棚柱には2通りの取り付け方法があります。
堀込タイプ
側板に溝を彫って、溝に打ち込むように取り付ける堀込タイプ。
堀込タイプは、側板から1,2㎜しか出っ張らないのでスッキリとした収まりになります。
叩き込むように納めるので、ネジ止めの必要がないケースもあります。
(メーカーによって異なります)
面付けタイプ
木工什器の側板や壁に、ビス止めでそのまま取り付けることが出来る面付けタイプ。
後から棚板をつけたいと思った時に、取り付けが可能です。
(ただし下地が必要です)
面付けタイプの方が、側板の加工をする必要がなく、後からネジ止めで取り付けられるため施工が簡単です。
ただし、棚柱の厚み分、側板と棚板に隙間が出来てしまいます。
最近では、面付けでも薄いタイプの物が増えてきています。
そして、ビスさえ打てれば、後から追加したり壁にも取り付けることが出来るので重宝されています。
材質について
次に、棚柱の材質としては、主にステンレス・アルミのものがありそれぞれの特徴があります。
ステンレス製・・・耐久性が高い、キズが付きにくい
アルミ素材:好きな長さにカットなどの加工が簡単、カラーバリエーションがある
パット見た感じだと違いが分かりづらいですが・・・。
これらはすべて、ステンレス製です。
これらはアルミ製です。
違いが分かり辛いですね。
棚受けの種類について
棚受けとは、ダボとも呼ばれています。
棚柱と棚受けは、もちろんセットです。
同じメーカーでもスリットの形が違うので、組み合わせを間違えると使えません。
そのため、棚受けを追加で欲しくなった場合などには注意が必要です。
取り付け方や組み合わせの間違いを防ぐためにも、製作する工場によってこのメーカーのこの品番を使うなど決めているケースも多いです。
棚受けの場合は、フラットになっている物もあります。
こちらは棚板の座ぐり加工をしなくてもいいというメリットもあります。
ダボの場合は、棚板がズレやすいので、棚板の裏を切り欠いて、ダボがはまるように加工します。
棚受けの場合は、それが必要ありません。
ただ、中の物を取り出す際に棚がズレてしまいそうで不安という場合や、ガラスの棚を乗せる場合などのために、追加パーツが色々とあります。
どちらを採用するか、素材をどうするかなどはコストに反映してくる部分なので、特に指示がなければお任せを頂いています。
もちろん、このメーカーのこれを使って下さいと指定を受けることもあります。
棚板をどう使いたいか、収納にはどんなものをいれるかなど、ご相談頂ければパーツなども含めてご提案させていただきます。
スリットパイプについて
スチールの角パイプや丸パイプには、スリットの入っている角パイプもあります。
こちらには、棚ダボやブラケット、ハンガーパイプを取り付けることが多いです。
ブラケットはこちら。
ブラケットは、棚柱にも使用できます。
角パイプを取り付けられるブラケットもあるので、店舗什器などで重宝されています。